牧場小屋
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エッセイ
ああ言えばこう言え!
目次
ああ言えばこう言え!その43
つい先日、小学校時代の同窓会があった。なにしろ35年振りである。そして私にとっては初めての同窓会でもある。懐かしさのあまり、ついつい出席の旨を返信したが、実際に参加して「後悔先に立たず」を身体で体験してしまった。ただ、つまらないお化け屋敷や全く怖くも何ともない怪談話よりは、よほど迫力に満ち溢れていたのも事実である。デメリットの裏にはきちんとメリットも存在する。
まず、最初に私が見つけ出そうとしたのが初恋の可愛いあの子である。しかし、これほど苦心するとは思いもよらなかった。なぜなら、35年前の可愛いあの子は、その面影の欠片も見えない、無残な姿へと変身してしまっていたからである。
ただし、先方にも言い分はある。
「あなたも随分変ったわ。だってこんなにたくさんの髭なんてなかったもの」
当然である。口髭顎鬚に加え、それがもみ上げに連なる小学生などいない。いや、いてはならない。
さて、宴会が進み、挙句の果てには女性は旦那の愚痴、男性は女房の愚痴と、至る所で涙を流しての愚痴のオンパレードである。これでは、夜泣き爺と婆の出現以外に何物でもない。
人間は変化する。しなければ本当に妖怪だが、変化し過ぎて、跡形も残らないというのもこれまた問題である。その意味では、私など年相応でいい加減で丁度だと思ってしまう。
甲山羊二
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