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エッセイ
ああ言えばこう言え!
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ああ言えばこう言え!その31

 名前はそれを付けるものの愛情が込められていて、例えば犬のポチは見るからにポチポチしているし、猫のタマはやっぱりタマのようにころころ転がりそうだから興味深い。
それに、ポチもタマも犬や猫らしく聞こえるから不思議である。
人間にポチと付けたらどうだろう。おそらく受け付けてくれる役所は皆無に違いない。まして、ポチという人間の人生を想像しただけでも痛ましいものがある。
 私の友人に南治夫という人物がいる。
表記は異なるが、あの往年の大スター三波春夫さんと読み方が同じという人物である。本来なら幸せに浸るべきところが、残念なことに大変な誤解を招くということだから、真に困った話なのである。
 高校時代、南君はある街頭アンケートの標的にされてしまった。本来なら断りたいところだが、年上の綺麗なお姉さんの依頼に、気の弱い南君はつい応えてしまうことになった。
まずお姉さんが南君に質問をした。ところが、不幸な事態はその時に起こってしまった。お姉さんが最初にした質問は、南君の名前をフルネームで答えるというものだった。
南君は「みなみはるお」と答えた。正直な答えである。
しかしお姉さんの顔色が変った。お姉さんはもう一度南君に同じ質問を繰り返した。何度質問しても同じ答えであるのは仕方がない。
結局、お姉さんは馬鹿にされていると思い込んでしまい、「大人をからかってはいけません」と怒って立ち去ってしまった。
 その後の南君であるが、社会人として立派に成功を収めている。
特に、お客様との宴会では南君の人気はまだまだ衰えることを知らないということである。
宴会の最後は「お客様は神様です」と締め括る。さすが南君は「みなみはるお」なのである。
 注 本エッセイは南君の承認済み さすが・・・

甲山羊二
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