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エッセイ
ああ言えばこう言え!
目次
ああ言えばこう言え!Ⅱその8
僕の名は甲山羊二である。そしてそれにフリガナを打つと「かぶとやまようじ」となる。
だがしかし、時々事務所に「こうやまさんはいらっしゃいますか」などといった電話がかかってくることがある。残念ながら「こうやまさん」は事務所にはいらっしゃらない。もっと酷いケースもある。郵便の宛名が「甲田羊三」となっている場合である。これは「かぶとだようぞう」と読むのか、または「こうだひつじさん」読むのか、極めて難問である。いずれにしても、このような人物は事務所にはいらっしゃらないし、お越しにもならない。
とにもかくにも、よく考えて欲しい。もしも僕が甲田羊三なる人物を実は甲山羊二と同一人物であるなどと認知しようことなら、これはまさしく大変な事態であり、戦後何万番目かの大事件である。なぜならこれまで僕を甲山羊二であると固く信じてこられた多くの方々を完全に裏切ってしまうことになるからだ。
「あんたは甲山でなく甲田だったのか」
「あんたの面白くもない小説を読むためにわざわざ時間を割いたんだぜ」
「仮に産地偽装なら返金などもあるだろうが、筆名偽装にはどんな補償があるというんだ」
もうこうなれば緊急記者会見である。オフィシャルサイトもしばらく閉鎖となるだろう。ブログを更新しても誰も読んではもらえない。
はっきり言う。僕は甲山羊二である。そして「かぶとやまようじ」と読む。間違いない。
甲山羊二
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