牧場小屋
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エッセイ
ああ言えばこう言え!
目次
ああ言えばこう言え!Ⅱその6
気候が良くなると人の動きも活発になる。しかし良くなり過ぎての猛暑や激暑も考えものである。そういう時は、エアコンの良く効いた部屋で、優雅な時間を送りたいと思う。
しかし、その優雅なる時間と空間を平気でぶち壊されることもしばしばである。その筆頭に挙げていいのが意味不明な電話勧誘である。だいたいが個人情報などあったものではない。どこで調べたのかはわからない。わからないけれど、相手はしっかりわかっている。
塗装、保険、不動産、株式、新聞などなど、ただしここまではまだ定番である。最近顕著に頭角を現しつつあるのが、墓石、介護、葬儀などなどである。極めてマイナーな業種ではあるが、いずれお世話になることもあるだろう。決して邪険にはできない。
しかし、なかにはかなり執拗な勧誘もある。だから我が家ではそのための訓練を欠かさず行っている。
折角なので、ひとつのマニュアルを簡単に紹介しよう。
マニュアル①
「こちら以前お電話を差し上げた○○でございます。ご主人様はおいででしょうか」
「おりません」
「ではお帰りは何時頃でございますでしょうか」
「帰りません」
「はぁ」
「もう帰っては参りません」
「あの・・・」
「主人は亡くなりました」
※注意 ここでは相手の衝撃を十分に考慮すること
例えば、「亡くなりました」→「旅に出ました」でも可能
「悲しゅうございます(繰り返し)」
※注意 ここで鼻水をすするとさらに効果が倍増
家族がこれを実践したところ、素晴らしい実績を得ることができた。だがしかし、僕は一度だけ失敗した。何とも相手が悪かった。相手はある雑誌の編集人だった。
「ヘタナ シバイ ヤメテ ゲンコウ スグオクルベシ」
電報攻撃により僕は撃沈した。
甲山羊二
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