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エッセイ
ああ言えばこう言え!
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ああ言えばこう言え!Ⅱその22

   基本的に僕にはまとまった休みというものがない。正確に言えば、夏休みだとか、盆休みだとか、年末年始の休みだとか、そういった世間一般の休みというものが全くない。
 よく、甲山は一体何時休んでいるのかという、極めてお節介な質問を頂くことがある。はっきり言う。何時どうやって休もうが、それは僕の勝手だ。誰にも迷惑はかけてなどいない。ただ、今後のこと、つまりは世の中のお節介屋さんのために、僕にとっての休みなるものを、ここに初めて記しておくことにする。

1 大きな仕事が終わって一息つく時
2 疲労から過労へ移行しようとする時
3 伝染病や感染病などに罹患した時

 つまりは世間様と似ているようで実は似ていない。特に次の仕事までの充電として休むという場合、尊い世間様の理解を得ることは、全くもって難しい。だから、あまりにも尊過ぎる世間様から、随分好奇な目で見られてしまう結果となってしまうことになるのだ。
 世間様がせっせと意義深い仕事をされておられるなかで、僕は時々よく冷えたビールを飲む。世間様が日本経済のさらなる発展のために邁進されておられるなかで、僕はふらりと旅行に出掛けたりする。そして世間様からひんしゅくという名の随分貴重なものを頂く。
 休みは自分のためにある。気味の悪い体裁のためにある訳では決してない。それに僕は尊くない。だから尊い世間様と休みまでご一緒など申し訳ない。僕は凡人だ。凡人は凡人なりに頭を使う。自分なりに休む。いつもいつも群集う世間様ご一行に、畏れ多くて僕などとてもとても近づくことはできないのだ。
甲山羊二

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