先人も多種多様であって実際には全ての先人が敬愛の対象かといえば決してそんなことはない
ろくでもない先人だってゴロゴロいる
先人の知恵という言葉がある…
真の知恵を持った先人は確かに尊い
「家のつくりやうは夏をむねとすべし」(徒然草)
こうした先人の言葉には生きる上での含蓄が刻まれている
住める場所
住んではいけない場所…
先人の知恵を馬鹿にするとその結果はおおよそ悲惨なものになる
過去に幾度となく津波の被害にあった場所
同じく過去に土砂災害の被害にあった地域
先人はそうした地域を特定できる隠語のようなものを残して戒めとした
寺田寅彦などは学者として文献において津波災害の繰り返しを警告した
隠語も文献も過去の異物として無視し封印してしまうことは簡単だ…
一方で新規の情報にどれだけ精通しているのかといえばこれも怪しい
古いものにふたをして新しいものには見向きもしない
そうした浅はかさが新たな災害をもたらせてしまう…
ところで僕たちは未来の先人として次世代に何を残すことができるのだろう
先人はスマホに熱中するあまり電車と接触して死んじゃいましたとさ
先人は言葉だけの上辺だけのキズナに酔いしれ実は自己中でしたとさ
これでは日本先人馬鹿物語だ
知恵は継承されなければならない
ただそうした素地が世の中にあるのかと言えば極めて怪しい
同じ轍を何度も踏む
そうして忘れる
いや忘れようとあえて務める
思い出せるものを破壊する…
何ともおめでたい限りではないか
僕はこの日本という国が10年もたないのではないかと本気で考えている
思考も思惟も分別も良識もかなぐり捨てでひたすら享楽へと走る
周囲には老害がはびこり先人候補も見当たらない
ことあるごとに詭弁を発するという点においては若者と中年と老人の相違はもはやない
これでは知恵は継承されない
国家を貶める者は多くいても憂慮する者は少ない
日本から武士が消えようとしている
それでも僕はこの日本という国にあえて未来を創造してみたいと思う
10年持つか持たないか…
たかが10年
されど10年
場合によってはとてつもない変革が起こるかもしれない
問題はその時に生じるであろう痛みに耐えうるか
そこだけだろう
先人…
その知恵で僕たちは生きている
そして…
痛みもまたその知恵で昇華されるはずなのだ
先人の知恵
日本人の知恵
そして伝統
それらを継承する新たな知恵を模索していきたいものだ |