『三島由紀夫おぼえがき』
澁澤龍彦
中公文庫
三島由紀夫を文学的に評論する…
その意味で本著は名著に値する
三島由紀夫を思想の断面から捉えたものは実に多い
それは致し方ない
なぜなら三島は思想家でもあり、またれっきとした行動家でもあったからだだろう…
だかそもそも彼はやはりれっきとした文学者だった
そこを忘却した三島論に時々へき癖することもある
本著が名著である理由は決してそれだけではない…
澁澤氏自身が三島と親交があった
…
しかも重要なのは思想家また行動家の三島ではなく、文学者三島そのものとの交友であったことだ…
だから各氏との対談も文学論で活き活きしている
三島を単に持ち上げたりしない…
論理的批評を見事に展開していく
澁澤龍彦とくればやはりサド侯爵がよく知られる
もちろん彼もまた立派な文学者だ
…
そして紛れもなく彼は一流の批評家でもあるのだ
文学者と批評家
見事な両立にはただ圧倒される… |