『嘔吐』
J-P?サルトル
人文書院
実存主義とは何か
また人生とは何か…
現代文学の古典といわれる本著…
サルトルを知る上でも必携必読の小説であることは言うまでもない
…
だがしかしである
本著を読破するにはそれ相応の忍耐と労力が必要だ
このことだけははっきりしている
…
僕がこの作品を手に取ったのは山崎正和氏のある論文に起因する
樹木の奇怪な根…
その非日常たる現実にロカンタンは吐き気を覚える
一体全体この吐き気とは何なのか
…
「吐き気」は本著を貫くひとつの用語となっている
しかし僕たちが普段経験している吐き気とは明らかに一線を画す
それは嫌悪なのか
それは恐怖なのか
それは敵意なのか
ロカンタンの精神は人間の持つあらゆる抗いの心情に通じている
不条理とは人間の内部と事物という外部との強い駆け引きを意味するのではないか…
人間の内面が不条理なのではない
…
はたまた事物の外部が不条理という訳でもないのだ
人間と事物が対峙する時に起こる人間の側の精神構造上の現象…
そう考えると一応納得はできる
但しサルトル側からの批判は当然にあるだろうが…
今世紀最大の小説
僕にとってはあらゆる意味で今世
紀最大の謎でもある
但しそれもまたいい |