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エッセイ
ああ言えばこう言え!
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 ああ言えばこう言え!その7

 私は数学が全くダメである。
算数も計算なら何とかこなせても、文章問題となると完全にお手上げである。
算数が悲惨な状態であるのに、数学などという高度なものが出来るはずが無い。
出来ないから好きにもなれない。
証明問題などは、恐怖すら感じてしまう。
「次の二つの図形が合同であることを証明しなさい」などの文言には耐えることが出来ない。
合同であることなどはもう解り切っている。
にもかかわらず、それを「証明せよ」など、全くもって暴言他ならない。
中学時代、数学のテストに証明問題が出題された。
怒りで暴れたい衝動を、問題用紙裏に淫らな絵を描くことでようやく鎮めた私は、『とにもかくにも、よってゴードーであるにきまっとるぅ』と答案に記入した。
おかげで、数学教師からの信用と信頼を完全に喪失してしまった。
 苦手とするのは数学だけではない。

物理も化学もダメである。
物理など、人間の領域を遥かに越えているとしか言いようがない。
あれは明らかに神様の領域である。
そのことを物理教師に訴えると、「よって私が神様であるのです」と返されてしまった。
なるほど、やはり物理は神様の領域であり、ということは、物理教師は神様であり、神様は物理教師であるということが証明されたことになる。
まことにまことに懐かしい証明の思い出である。

甲山羊二
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