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エッセイ
ああ言えばこう言え!
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ああ言えばこう言え!その36

 相手の年齢ほど聞きにくいものはない。もちろん、聞かなくていいならそうしたいものだが、相手に対するマナーを考慮した場合、やはりおよそのことは知っておいた方が失礼にあたらずに済むこともある。最近は健康ブームとお肌つるつるブームによって相手の年齢を判明できない場合が多い。いかにも健康的でお肌もつるつるなのだが、意外に高齢だったということも稀ではない。男性の場合、髪までふさふさしていると、これは明らかに年齢不詳となる。何ごとも自然がいいと思うのだがそうはいかないらしい。
とにかく、不詳がそうでなくなるまでには、相応の計画と時間を要する。特に相手が女性の場合は、計画に緻密さが増し、その分に費やされる時間ははかり知れない。
 私はというと、そのあたりを察知して積極的かつ大胆に自らの年齢を公表するよう努めている。
この間も、妹の6歳になる子どもを連れておもちゃ屋さんに出かけた時に、そこの店員が「おいくつ?」と優しく聞くものだから、つい「45歳です」と答えてしまったほどである。
店員は困ったような表情をしていたが、子どもに聞くのならその目線に合わせる姿勢をとるべきである。
 いずれにせよ、相手が人生の先輩ならそれなりの敬意が必要である。そのためにはたとえ聞きにくくても相手の年齢にこだわる他ない。毎日が戦いなのである。



甲山羊二
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