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エッセイ
ああ言えばこう言え!
目次
ああ言えばこう言え!その34
秋は体の疲れが出やすい季節である。食欲の秋といっても、蓄積された疲労のなかで、朦朧としながら食する食事は苦痛以外の何物でもない。
読書の秋ともいうが、読書をしながらの転寝で、これまたさらに体に負担がかかるとなると最悪である。
まずは学校も仕事も完全にお休みをして、完全に疲れを除去したいところだが、そうはいかないのが悩みなのである。
そこで忘れられないのが、秋となれば忌引きを悪用して疲労回復に努めた学生時代の友人のことである。
祖父母から親戚に至るまで多数を抹殺し、忌引きによって学校を欠席した実績は、今後破られることはないであろう。
祖父母を一般的な数から増員した際には、担任の先生から数が合わないとの指摘さえあったほどである。
挙句の果てには、お払いを勧められるなど、学生時代の彼にとって、秋とはまさに創作された不幸な秋だったといえる。
見破られそうになっても何のその、そんな窮地を救うのは、彼の持ち前の妄想力と演技力であった。天は彼に極上の賜物を与えたのであろう。
そんな悪用も長続きはしない。そんなことは世間が許すはずもない。しかし現在もその悪用は社会人という立場で記録更新中である。
抹殺者名簿を作成し、慎重に心がけを行なう姿など痛々しいほどである。もちろん出世などするはずもない。出世よりも疲労回復である。
最近では妄想力と演技力に加え、計画性まで備わってきた。天は彼に更なる賜物を与えたのであろう。
私も少しは頂きたいものである。
甲山羊二
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