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エッセイ
ああ言えばこう言え!
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ああ言えばこう言え!Ⅱその33

  先月、約一年ぶりにフリマガを発行した。
  「FM KABUTOYAMA Vol.4」

 今のところ、年に一回のペースは守られていて、今回は所謂秋バージョンになっている。
 今回、最も反響があったのは、冒頭にある随筆「かみんぐあうと」である。なぜ、そしてここで、「かみんぐあうと」であるのか。
 以下、その釈明を記しておきたいと思う。
 先ずは、「かみんぐあうと」は正真正銘の事実だということである。大体が、小説を書く人間は、随筆や評論まで、所謂全てが全て創作と思われる節がある。これは大変困ったことで、本人には実に憂々しきことである。しかし、「かみんぐあうと」は隅から隅まで実話である。少なくとも、僕は評論と随筆に創作を混ぜたりするようなことは絶対にしない。
 次に、なぜこれまで<カミングアウト>をせずに、事実を放置し続けてきたのかである。実は、至極親しい人や、やむを得ずの場合のみ、真相を打ち明けていた。大体、この手の話は、本人がぺらぺらと喜び勇んで周囲に話せる内容のものではない。もちろんそういう人もいるにはいる。それを売り物にする人もいるにはいる。但し、僕とは人種が異なる。
 そうして、また何故に、今に至って「かみんぐあうと」で<カミングアウト>なのか。それを語るとおよそ一個の随筆となる恐れがあるので、止めておきたいと思う。物事には、全て契機というものが判然と含まれている。
 以上、取り急ぎ「かみんぐあうと」を<カミングアウト>しておく。これでもって、「釈明などではない」と怒りを買いそうである。そういう𠮟咤激励は大歓迎、お持ちしている。

甲山羊二
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