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エッセイ
ああ言えばこう言え!
目次

ああ言えばこう言え!その18

 酷暑の夏が過ぎれば、平穏な秋がやってくる。
日本の四季はまことによくできている。秋といえば食欲の秋であり読書の秋でもあり、秋も何だかんだと慌しい。
夏の疲労を改善する為、珍味に走り食欲を満たす。その後は静かに読書に耽る。平穏な秋ならではの一連の流れである。
しかし、欲といえばなんと言っても性欲である。
実のところ、秋はこの性欲が最高潮に達する季節なのである。
そう言えば、秋になると突然の鼻血で慌てる中高生をよく見かけるようになるのも、秋が性欲の秋である所以であろう。
私なども中高生の時期は、秋には必ず朝夕と鼻血を出していたから、その慌てぶりは身に染みてわかる。
 女体露出系書籍が最も本屋に出回るのも秋である。
夏に比べて女性の肌の露出が著しく低下する秋は、逆に性欲という欲望が目を覚まし、世の男性は読書と称して妄想の世界を貪るのである。
私が行った独自調査によると、性犯罪は秋に最も集中しているようである。
なるほど、アダルトDVDの新作の多くも秋に最も集中している。
性犯罪を何とか抑止したいという業界なりの真摯な努力が伺える。
風俗業界も業績は秋に最も集中するという。こちらは、本物志向の殿方の欲望をしっかり満たしてくれる。
懐妊もその発端は大体秋である。
懐妊は大変喜ばしいことだが、その後の人生設計や家族計画に支障を及ぼす懐妊は、なかなか複雑なものがあるだろう。
 もちろん秋は性欲だけを満たす為にあるのではない。
しかし、正しい性欲の処理を通して、モラルとルールを会得できるのも事実である。
突然の鼻血も、正しく性欲をコントロールすること次第なのである。

甲山羊二
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