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エッセイ
ああ言えばこう言え!
目次
ああ言えばこう言え!その13
私は推理小説が大好きである。
なかでも、金田一耕助シリーズは、愛読書中の愛読書、ちょいと嬉しい時や酔っ払った時などは、憧れの金田一耕助に成り切って家族を楽しませる。
もちろん、事件も何も無い。
いや、全く無いと言ったら嘘になる。
例えば、お小遣いが足らなくなって『マイ ワイフ ファイナンス』から気軽に借りたのはよいが、その返済が滞ったときなどは、ちょいとした事件である。
「臓器を売ってでも返済しろ!」とは言わない。
「しばらくお酒は止めなさい」と静かに言われる。
これがなんとも堪えるのである。
そう言われると、臓器を売ってでも呑みたい衝動に駆られる。
この事件を解決すべく登場するのが金田一先生なのである。
髪の毛をバリバリ掻き、どもりながら、「つつつまり、おお酒を欲しがるという、ゾゾゾーキこそが、しし真犯人なのですよ、ワワワイフ」と繰り返す。
フケを飛ばしながらも、しっかり真犯人を言い当ててしまう金田一先生には、さすがの妻も頭が上がらない。
まさに見事なまでの事件解決である。
事件解決は家族円満の秘訣である。
推理小説はただ楽しいだけではいけない。
実践して初めてその楽しさが実感できるのである。
甲山羊二
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