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コラム
心に吹く隙間風
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 心に吹く隙間風その5

 プロ野球西武球団の金銭供与問題は、起こるべくして起こった事件であるとの専らの評判である。
概ねどの球団でも同じようなことが行われているはずで、たとえそれが金銭でなく物品であっても、供与であることには変わりがなく、供与した側はもちろんだが、授受した側も大いに反省をし、厳重なる処分を課すべきである。
なぜか。野球は夢を売るスポーツである。
そして特別の娯楽である。少年はそこに夢を抱き、希望を見出す。
大人はそこに自分を仮託し、明日の活力を見出す。
その夢や希望を打ち砕く行為は、明らかに精神的裏切り行為である。形式的謝罪で済むはずがない。
 今回発覚した中で、東京ガス選手の記者会見には、程々参った。久しぶりに最低下劣な記者会見を拝聴したという思いである。
今回の授受は自分とは直接関わりがなく、亡くなった母上が生前授受したものであるという。
日本語に対する軽視がここまで蔓延っていることに、私は愕然とする思いである。
直接であるとか間接であるとかの問題ではない。
供与と授受という事実があったかどうかの問題である。
母上は息子の為に授受したのであり、それを直接か間接かのレベルで会見されたのではたまったものではない。
この選手には、選手としての技術向上も大切であるが、日本語という言語能力の向上も必要らしい。
いや、その前に、感謝と思いやりという感情教育も併行して受けるべきである。  早稲田大学選手もしかりである。
元来、大学という最高学府は、学問を修める場であって、その本分から反れて、クラブ活動を修める場ではない。
大学だけに止まらない。高校も勉学の場である。
学校側も学生や生徒側も本末転倒な馬鹿げた意識を持つから、結果こういう事態に至るのである。
同選手の退部処分は当然のこと、本来は退学処分が妥当である。夢を売るには余りにも能力が低すぎる。
 物事には必ず本分というものが存在するはずである。
本末転倒な意識は、いずれ自分の身を滅ぼすことになる。
野球選手も辞めれば『ただ図体のでかいアンちゃん』でしかない。
本末転倒の教育は、これらアンちゃんを次々生み出すシステムをもっている。
アンちゃんから脱皮するためには、自己責任に立脚した徹底した自己改革と自己研鑽以外にない。
甲山羊二
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